►効果測定における「振り返りアサインメント」の活用方法
下図は、研修効果測定の構成要素と測定手法の一例をまとめたものになります。研修の成果を適切に把握するためには、以下のような観点をあらかじめ整理しておくことが重要です。
- 誰が確認するのか (例:人事部門、受講生の上司 など)
- いつ測定するのが効果的か(例:研修直後か、研修数ヶ月後か)
- 何の目的で確認するのか (例:昇格判断、育成計画への活用、定着度の確認 など)
- 何を測定したいのか (例:意識・マインド、能力、行動 など)
- どのように測定するのか (例:事後アンケート、アセスメントテストなど)
こうした観点を整理したうえで、自社の目的や状況に合った効果測定の方法を選ぶことが大切です。
図中の「測定の具体的方法」にある「振り返り」には、「振り返りアサインメント」をご活用いただけます。
「振り返りアサインメント」は、グロービス・マネジメント・スクール、大学院単科・Pre-MBA、およびグロービス・エグゼクティブ・スクールの一部科目(女性リーダー育成プログラム、テクノベート・マネジメント・プログラム)において、最終回(Day6)に受講生が提出する課題です。
本課題では、学びの内容を振り返り、実務での活用や行動変容について記述していただきます。
以下のような目的で特に有効です。
- 学びの定着度合いを確認したい時
- 実務でどのように学びを活かそうとしているかを確認したい時
- 数値だけでは把握しづらい、定性的な変化を見たい時
「振り返りアサインメント」を通じて、受講生の内省や成長の深さ、学びのプロセスを見ることが可能です。
また、図中の「測定の具体的方法」のうち「アセスメントテスト」に該当する方法として、グロービスでは「GMAP」というサービスを提供しています。これは受講生の論理思考力や経営・ビジネス知識を測定するためのツールです。必要に応じて担当セールスへご相談ください。
その他の測定手法については、必要に応じて貴社にてご対応いただく形となります。
►「振り返りアサインメント」とは?
「振り返りアサインメント」は、受講生が学びを振り返り、実務での活用と今後の課題を明確にしていただくための課題です。
クラス最終回(Day6)の受講前に提出し、学びの定着を促します。また、法人担当者の皆さまは、このアサインメントを通じて受講生の成長や学びの深さを確認することができます。
►「振り返りアサインメント」の設問内容
設問内容は全クラスで共通するテーマをもとに構成されています。
科目ごとの特性に応じて具体的な表現が異なる場合がありますが、内容は以下の通りです。
設問内容 | |
設問1 |
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設問2 学びの実践に向けて |
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設問3 |
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►研修成果を捉えるための「振り返りアサインメント」確認観点
「振り返りアサインメント」では、受講生が学びをどのように整理し、業務に活かそうとしているかを確認できます。以下の視点を参考に、受講生の成長や実践への意欲をご確認ください。
また、各科目の詳細については、「カリキュラム一覧」 で科目概要をご覧いただけます。
設問でチェックする観点 | |
設問1 |
受講を通じて得た知識や気づきをどのように理解し、自分の成長に結びつけられているかを確認 ✔ 単なる内容整理ではなく、自分なりの解釈ができているか? ✔ 受講前後の考え方や視点の変化が具体的に表れているか? |
設問2 学びの実践に向けて |
得た知識や気づきを実際の業務にどのように活かすか、その具体性と意欲を確認 ✔ 学んだことをどの場面で活用できるか具体的にイメージできているか? ✔ 自身の業務改善への意欲が感じられるか? |
設問3 |
今後の成長に向けた課題と、それを乗り越えるための具体的なアプローチを確認 ✔ 想定される課題や困難に対し、克服のための対策を具体的に考えられているか? ✔ 組織視点からの成長課題も意識できているか? |
►「振り返りアサインメント」の良い例
「クリティカル・シンキング」「マーケティング・経営戦略基礎」の2科目に分けて、実際の記述例をご紹介します。前述の確認各観も参考に読み進めていただきながら、例と比較して、受講生が良い振り返りができているか、もう一歩な点がありそうかを確認してみてください。
クリティカル・シンキングの場合
設問1:学びの整理/実践の振り返り
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意思決定のスピードと精度の向上
受講前は、直感や経験則に頼ることが多く、意思決定に時間がかかっていました。受講を通じて、イシューを特定し、論点を整理することで、スムーズに判断できるようになりました。現在は、考えるべきポイントを明確にし、迅速かつ的確に意思決定を行うようにしています。
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伝え方の工夫とコミュニケーションの改善
これまでは、自分の考えを伝える際に、相手の前提や認識を十分に考慮せず、一方的に説明してしまうことがありました。受講を通じて、相手の関心や理解度を意識し伝える重要性を学びました。現在は、相手の視点に立ち、伝え方を工夫することで、よりスムーズなコミュニケーションが取れるようになっています。
設問2:学びの実践に向けて
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チームの議論の質を高める
今後は、業務の課題に対して表面的な解決策ではなく、イシューを深く掘り下げることを徹底したいと考えています。特に、チームの議論では、意見の背景にある前提や論点を明確にし、より建設的な議論ができるようにしていきます。
判断基準を共有し、意思決定のブレをなくす
チーム内の意思決定が個人の経験や主観に依存しがちで、同じ状況でも判断が異なることがありました。今後は、主要な意思決定プロセスを整理し、判断基準を明文化することで、メンバー間の意思決定のばらつきを減らしていきます。具体的には、意思決定時に「どの情報を重視するのか」「何を基準に判断すべきか」を明確にし、誰が判断しても一定の品質を担保できる仕組みを構築することを目指します。
設問3:今後の成長課題
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マーケティング・経営戦略の知識を深める
受講を通じて、論理的思考の重要性を学びましたが、より高度な意思決定を行うためには、マーケティングや経営戦略の知識が必要だと感じました。市場の変化を的確に捉え、戦略的に意思決定できるよう、最新の事例やフレームワークを学び、実務に活かしていきたいと考えています。
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リーダーシップやファシリテーション力を強化する
組織での影響力を高めるために、リーダーシップやチームマネジメントのスキルを伸ばしていきたいと考えています。特に、メンバーの意見を引き出しながら、論理的な思考を促すファシリテーション力を身につけ、より効果的な議論ができる環境を作りたいです。
マーケティング・経営戦略基礎の場合
設問1:学びの整理/実践の振り返り
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フレームワークを活用した戦略思考の習得
受講前は、事業戦略や市場分析を感覚的に捉えていましたが、フレームワークを活用することで、体系的に考える力が身につきました。特に、業界分析や競争優位性の特定を論理的に整理し、自社の強みをより明確に捉えられるようになりました。
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顧客視点のマーケティングへの意識変化
これまでは自社のプロダクトを起点とした施策が中心でしたが、マーケットインの視点を取り入れる重要性を学びました。顧客のインサイトを深掘りし、競争環境を理解した上で戦略を立てることで、より市場ニーズに沿った提案ができるようになりました。
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全社戦略から実務への落とし込みを意識するようになった
受講を通じて、全社戦略から事業戦略、そして実務への落とし込みの重要性を再認識しました。これまでは感覚的に業務を進めていましたが、戦略の意図を理解した上で、自社の事業戦略を改めて読み込み、実務に活かすよう意識しています。
設問2:学びの実践に向けて
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論理的な提案による営業活動の強化
営業提案の際に、業界のKBF(Key Buying Factor)やKSF(Key Success Factor)を考慮するようになりました。顧客の課題を表面的に捉えるのではなく、その背景や市場環境を分析し、より納得感のある提案ができるよう実践していきます。
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戦略の意図を理解し、意思決定プロセスを踏まえた業務遂行へ
経営戦略に触れたことで、企業の意思決定プロセスへの理解が深まり、より高い視座で物事を捉えられるようになりました。自社の中期経営計画についても、これまで以上に内容を具体的に理解できるようになり、戦略の意図を自分の業務と結びつけて考えられるようになったと実感しています。
設問3:今後の成長課題
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アカウンティングの知識を深める
マーケティングの施策をより効果的にするために、経営戦略や財務データの読み解きを強化したいと考えています。特に、アカウンティングの知識を深めることで、事業の収益構造や投資判断の視点を持ち、より戦略的な意思決定を行えるようにしたいです。
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ビジネスアナリティクスを学び、データ分析から戦略的な思考を磨く
業務におけるデータ分析力の強化を図りたいと考えています。定量データと定性情報を組み合わせて顧客の行動や意思決定の背景を捉え、仮説構築・検証を通じて、より精度の高いマーケティング施策につなげていきたいと考えています。データに基づく意思決定力を高めることで、競合との差別化と顧客への提供価値の最大化を目指します。